日本銀行が利上げを決定

次の注目点は中立金利の推計

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サマリー

◆日本銀行(日銀)は、2025年12月の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.25%pt引き上げ、0.75%とすることを決定した。利上げは2025年1月以来となる。12月会合での利上げは市場で織り込まれており、注目は、次の利上げのタイミングと、政策金利の到達水準(ターミナルレート)に移っている。

◆ターミナルレートを予測するにあたって、重要な概念が中立金利である。中立金利とは、景気や物価に対して中立的な名目金利の水準を指し、政策金利が中立金利を上回ると金融引き締めに、下回ると金融緩和になる。

◆日銀の推計によれば、中立金利は1.0%から2.5%の間にあると考えられる。今回の利上げ後も、日銀の政策スタンスは依然として金融緩和的であると言えよう。

◆中立金利の推計値がより狭い範囲で示されると、利上げの到達水準や、利上げペースのシグナルとなるだけでなく、長期金利を安定させる効果が期待できる。長期金利は、将来の短期金利の期待値とリスクプレミアムの合計である。中央銀行が中立金利の目安を示すことで、市場における将来の短期金利の期待値のバラつきが減り、長期金利がより円滑に形成されるようになると思われる。今後のさらなる情報発信に注目したい。

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