2022年04月21日
サマリー
プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の新市場が東京証券取引所(東証)でスタートした。TOPIXの見直しも進められている。
市場関係者から指摘されてきた、各市場区分のコンセプトが曖昧であるという問題や、企業の持続的な価値向上への動機付けの点で期待される役割を十分に果たせていないという課題に対して、市場再編やTOPIX見直しにより一定の対応がなされたと評価できる。特に、上場維持基準を新規上場基準と同水準まで引き上げたことは、企業の上場維持のハードルを高めた。見直し後の維持基準は米国市場と比べても、低いということはない。企業の持続的な企業価値向上に向けた行動が促されることを期待したい。
ただし、市場再編に伴う経過措置終了時期が明示されていないこと、TOPIX構成銘柄の選定基準が依然として低位であるという課題もある。経過措置については2022 年内に基本方針を決め、2024 年のコーポレートガバナンス・コード改訂時までに終了期限を明らかにするというシナリオが浮かぶ。TOPIXについてはその選定基準の引き上げや、年間に複数回の銘柄入替を検討すべきではないか。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
-
非上場株式の発行・流通を活性化する方策
「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」が報告書を公表
2025年10月29日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日

