2016年12月19日
サマリー
◆同一業種に属する企業を対象とした場合に、2014年度の売上高当たりCO2排出量の水準や排出量の増減とROAやROEに何らかの関係があるかを調べたところ、次の結果を得た。なお、分析対象の業種は、分析に必要なデータを取得できた企業が30社以上存在する6つの業種である。
◆電気機器は売上高当たりCO2排出量の水準が低い企業や、排出量が減少した企業のROAとROEが高いという傾向が見受けられた。化学は排出量の水準が低い企業のROAが高い傾向が少し見られるが、排出量の水準や増減とROAやROEとの間に年度を通じた特定の傾向は見受けられないといえよう。
◆機械は、排出量の増減はROAやROEと関係がありそうだが、特に明確な傾向は見受けられない。食料品は、排出量の水準が低いほど、また排出量の減少率が高いほどROAやROEが高いという傾向が見受けられる。
◆建設業は排出量の水準が低い企業のROAが高いという傾向が見受けられるが、他には特に明確な傾向は見られなかった。輸送用機器は、排出量の水準が低い企業のROAとROEが高く、排出量の増加率が大きい企業のROAとROEが低いようである。
◆売上高当たりCO2排出量は環境効率性を表す指標の1つとされている。いくつかの業種では、環境効率性とROAやROEという財務パフォーマンスに何らかの関係があることがうかがえる。
◆今後、情報開示のさらなる充実で分析対象企業が増えることや分析の深化と蓄積を進めることで環境効率性と企業パフォーマンスとの関係への理解を深め、地球温暖化などの課題への対応と企業価値向上や経済成長との両立の一助となることが期待されよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ESGファクターと企業パフォーマンス(中)
~ESGファクターの組み合わせと平均的リターン水準の関係~
2017年07月05日
-
ESGファクターと企業パフォーマンス(上)
~ESGファクターの組み合わせとROA、ROEの関係~
2017年05月25日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編③)
~業種によって異なるが、同一業種内でもCO2排出量の状況がリターンに関係している可能性を示唆~
2017年02月08日
-
日本企業の独立取締役の選任状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~独立取締役を複数選任している企業の収益性やリターンが高い~
2016年04月19日
-
日本企業の独立取締役の選任状況と企業パフォーマンスとの関係(後編)
~業種によって異なるが、同一業種内でも独立取締役を選任している企業の収益性やリターンが高い傾向が見受けられる~
2016年05月20日
-
日本企業の女性登用の状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~女性を積極的に登用している企業の収益性やリターンが高い~
2016年05月23日
-
日本企業の女性登用の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編)
~業種によって異なるが、同一業種内でも積極的に女性管理職を登用している企業のリターンが高い傾向が見受けられる~
2016年07月25日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~売上高当たりCO2排出量と企業パフォーマンスとの間に何らかの関係が存在する可能性を示唆~
2016年09月06日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編①)
~企業パフォーマンスを業種要因と企業要因に分解し、業種の影響を考慮してCO2排出量との関係を分析~
2016年12月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
日本の上場企業における女性管理職比率と男女間賃金格差の現状と変化
有価証券報告書における情報開示の義務化から3年を経て
2026年10月23日
-
サステナブル投資に反転と深化の兆し
インベストメントチェーンの変化を複数のアンケート結果が示唆
2026年10月21日
-
生物多様性条約第17回締約国会議の注目点
初回グローバルレビューで問われる、目標達成への道筋
2026年10月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

