2017年02月08日
サマリー
◆同一業種に属する企業を対象とした場合に、2014年度の売上高当たりCO2排出量の水準や排出量の増減と株式リターンとの間に何らかの関係があるかを調べたところ、次の結果を得た。なお、分析対象の業種は、分析に必要なデータを取得できた企業が30社以上存在する6つの業種である。
◆電気機器、化学、機械では検証したすべての保有期間において排出量の水準が高い企業で構成したポートフォリオよりも水準が低い企業のポートフォリオのリターンが高かった。
◆また、食料品と輸送用機器は比較的中・長期の保有期間で排出量の水準が低い企業のリターンが高く、建設業は比較的保有期間が短いケースで排出量の水準が低い企業のリターンが高かった。
◆排出量の前年度増減率では、機械と食料品はすべての保有期間で排出量が増加した企業よりも減少した企業のリターンが高い。電気機器、化学、輸送用機器では、保有期間が2.5年間以上で排出量が減少した企業のリターンが高い。建設業は保有期間が5.5年間と2.5年間のみ減少した企業のリターンが高かった。
◆売上高当たりCO2排出量は環境効率性を表す指標の1つとされている。本稿の分析は因果関係を示したものではないが、上記の結果は、電気機器、化学、機械、食料品は環境効率性が高い企業や、環境効率性が向上した企業のリターンが高いという傾向が見受けられ、環境効率性とリターンとの間に何らかの関係がある可能性がうかがえよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ESGファクターと企業パフォーマンス(中)
~ESGファクターの組み合わせと平均的リターン水準の関係~
2017年07月05日
-
ESGファクターと企業パフォーマンス(上)
~ESGファクターの組み合わせとROA、ROEの関係~
2017年05月25日
-
日本企業の独立取締役の選任状況と企業パフォーマンスとの関係(後編)
~業種によって異なるが、同一業種内でも独立取締役を選任している企業の収益性やリターンが高い傾向が見受けられる~
2016年05月20日
-
日本企業の女性登用の状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~女性を積極的に登用している企業の収益性やリターンが高い~
2016年05月23日
-
日本企業の女性登用の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編)
~業種によって異なるが、同一業種内でも積極的に女性管理職を登用している企業のリターンが高い傾向が見受けられる~
2016年07月25日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~売上高当たりCO2排出量と企業パフォーマンスとの間に何らかの関係が存在する可能性を示唆~
2016年09月06日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編①)
~企業パフォーマンスを業種要因と企業要因に分解し、業種の影響を考慮してCO2排出量との関係を分析~
2016年12月16日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編②)
~業種によって異なるが、同一業種内でもCO2排出量の状況がROAやROEに関係している可能性を示唆~
2016年12月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
気候関連開示を投資家は必要としているか?
米国気候関連開示規則廃止案を巡ってアカデミズムでも激しい論争
2026年07月14日
-
GPIFのサステナブル投資はどこに向かうのか
ESG投資の大幅削減の裏側にはGPIFが抱える根本的な課題あり
2026年07月13日
-
2026年3月期有報の人的資本開示①
既存欄と新設欄(人材戦略に関する基本方針等)の情報分散に課題
2026年07月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

