2016年05月23日
サマリー
◆ESG要因として女性管理職と女性役員の登用を取り上げ、企業の収益性の代表的な指標であるROAとROE、そして株式リターンとの関係を分析したところ、次の結果を得た。
◆ROAとROEの平均的な水準は、女性管理職を登用していない企業よりも登用している企業の方が高い。また、女性役員については、ROAよりもROEの方に、積極的に女性役員を登用している企業の平均的な水準が高いという傾向が見られる。
◆リターンについては、管理職や役員に女性を積極的に登用している企業で構成したポートフォリオのリターンが高い傾向がうかがえる。女性を積極的に活用することが企業価値の向上に寄与し、リターンの違いにつながった可能性があろう。
◆ESG情報の入手後のリターン(事後リターン)については、女性管理職を登用している企業よりも登用していない企業の方が通期のリターンが高いという結果になった。しかし、管理職女性比率の高い企業は女性管理職を登用していない企業よりもリターンが高く、管理職に女性を積極的に登用することが市場から評価されることがうかがえる。また、女性役員については、登用していない企業よりも登用している企業のリターンが高いが、女性役員数との間には明確な関係は見られなかった。
◆以上の結果は、女性の登用と企業パフォーマンスの因果関係を示すものではないが、女性を登用するという企業の経営判断や行動が企業価値の向上につながることを示唆する可能性があるのではないだろうか。また、事後リターンの分析は、投資判断を行う際に管理職や役員における女性の登用というESG要因を考慮することが運用パフォーマンスの向上に寄与する可能性を示唆していよう。
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