M&Aにおける移行サービス契約(TSA)締結に向けた課題と対策

買手とそのフィナンシャル・アドバイザー(FA)の立場から

RSS
  • コーポレート・アドバイザリー部 コンサルタント 片岡 万葉

サマリー

◆M&Aにおける移行サービス契約(Transition Service Agreement:TSA)の重要性は、企業グループにおける一体的な経営活動が進展するうえで重要性が一層高まっている。しかしながら、デュー・デリジェンス(DD)においては検討が後回しにされるケースも少なくない。

◆TSAとは、例外的にクロージング後の一定期間において、売主が対象ビジネスに対し各種サポートを継続的に提供することを定める契約である。契約においては、提供サービスの内容や方法、対価、補償、契約期間等が定められる。

◆本来、買手はDDの段階においてTSAに関し具体的に調査・検討を行ったうえで、最終契約書においてクロージングまでにTSAを締結することを定めるべきである。しかし実務上は、TSAを専門的に検討する人員が買手側DD体制に組み込まれないことも多く、買手FAも買手の十分な協力がなければTSAに関する詳細な分析を行うことは困難である。その結果、DDにおけるTSAの検討は不十分となり、クロージング後のオペレーションやPMIの成否に影響を及ぼすおそれがある。

◆買手はTSAの重要性を十分に認識し、TSAに関する調査・検討を行うことができるDD体制を構築することが求められる。また、買手FAは、TSAに関するDD実施の重要性について、買手に対して積極的に働きかけていくことが重要である。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

同じカテゴリの最新レポート

関連のサービス