サマリー
◆イタリアは、所得に資産の20%を加えて世帯規模(等価尺度)で割るだけの簡素な指標であるISEE(=(所得指標 + 0.2 × 資産指標)÷ 等価尺度)を、複数の社会扶助給付に共通する判定基準として用いるISEE制度を運用している。
◆共通基準を支えるのは、行政保有データをあらかじめ埋め込む記入済みDSU(申告書)と、納税者番号を介した所得・金融資産・不動産情報の突合である。国民の申告負担の軽減と政府による情報捕捉の強化が同時に追求されている。
◆一方で、国の年金・医療の給付は保険料拠出または所得を基準としており、ISEE制度は適用されていない。外国の資産の捕捉も自己申告への依存度が高く、ISEE制度は簡素さと精密さの一つの均衡点とみることができる。
◆日本への示唆は、①資産・所得を参照する制度の範囲、②世帯単位での所得・資産評価、③資産の一定率での所得換算、④納税者番号を介したデータ連携、⑤申告漏れ・不一致への段階的な是正措置、の5点である。まずは預貯金口座付番など既存のデータ連携基盤をどの給付でどこまで実務に使うかを先に決めることが、横断的な資力判定基盤への第一歩になる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
給付付き税額控除実現に向けたロードマップ
「社会保険料還付付き税額控除」なら早期実現も可能
2025年11月26日
-
第227回日本経済予測(改訂版)
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年12月08日
同じカテゴリの最新レポート
-
第3号被保険者制度見直しの財政改善効果は厚生年金保険料率0.1%pt分程度
第3号被保険者制度見直しの財政影響を試算
2026年09月25日
-
現役世代の保険料率は引き下げられるか
サービス維持との両立には、給付と負担の改革、DX/AX推進が不可欠
2026年09月02日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

