イタリアISEEに学ぶ、社会保障給付の簡素な判定の仕組み

世帯の所得・資産を一つの指標にまとめる仕組みと、日本の社会保障制度への示唆

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2026年10月14日

サマリー

◆イタリアは、所得に資産の20%を加えて世帯規模(等価尺度)で割るだけの簡素な指標であるISEE(=(所得指標 + 0.2 × 資産指標)÷ 等価尺度)を、複数の社会扶助給付に共通する判定基準として用いるISEE制度を運用している。

◆共通基準を支えるのは、行政保有データをあらかじめ埋め込む記入済みDSU(申告書)と、納税者番号を介した所得・金融資産・不動産情報の突合である。国民の申告負担の軽減と政府による情報捕捉の強化が同時に追求されている。

◆一方で、国の年金・医療の給付は保険料拠出または所得を基準としており、ISEE制度は適用されていない。外国の資産の捕捉も自己申告への依存度が高く、ISEE制度は簡素さと精密さの一つの均衡点とみることができる。

◆日本への示唆は、①資産・所得を参照する制度の範囲、②世帯単位での所得・資産評価、③資産の一定率での所得換算、④納税者番号を介したデータ連携、⑤申告漏れ・不一致への段階的な是正措置、の5点である。まずは預貯金口座付番など既存のデータ連携基盤をどの給付でどこまで実務に使うかを先に決めることが、横断的な資力判定基盤への第一歩になる。

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