アクティビスト投資家の近時動向(2026年4月)

「変質」しつつあるアクティビスト投資家。「対話」から「交渉」に。

RSS
  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 吉川 英徳
  • コーポレート・アドバイザリー部 コンサルタント 山本 一輝
  • コーポレート・アドバイザリー部 コンサルタント 上原 彩佳
  • コーポレートバリュー・アドバイザリーチーム

サマリー

◆2025年におけるアクティビスト投資家等による「重要提案行為ありの大量保有報告書」等の提出件数は246件と、前年の197件を大きく上回る水準となっている。その内訳を分析すると、アクティビスト投資家52社が上場企業223社に対して「重要提案行為ありの大量保有報告書」等を提出している。5%未満の保有事例も相当数あると推察され、上場企業においては株主アクティビズムへの対応が「特殊なケースではなく、一般化している」ことが伺える。

◆そうした中、2025年6月株主総会シーズンの株主提案数は141社と過去最高を更新した。アクティビスト投資家等の機関投資家による株主提案数は65社と前年の59社を上回り、過去最多となった。足元においてアクティビスト投資家の活動は引き続き活発な状況にある。特に2025年は、アクティビスト投資家によるM&Aアクティビズムを含む経営介入が顕著にみられた年であった。例えば、非上場化等に伴うTOBへの介入についてはもはや一般的な動きになっているほか、非上場化そのものを提案する事例も目立つようになっている。

◆今後もアクティビスト投資家の活動は引き続き高水準で推移する見通しである。ただし、その活動内容は「変質」しつつある。すなわち、投資先企業に対する姿勢は、従来の「少数株主としての中長期的な企業価値向上に向けた提言・対話型」から、「株式大量保有による影響力を背景に、非上場化等を通じて支配権プレミアムの顕在化を図り、短期的な株主価値向上を求める交渉型」に変化している。こうした変化に対しては、「短期志向」との批判的な見方も出始めている。

◆上場企業としては、中長期的な企業価値向上に資さない提案を行う短期志向のアクティビスト投資家には、毅然とした態度で挑む必要がある。一方で、そのような対応を正当化するためには一般株主の支持が不可欠である。そのためには、平時から企業価値向上に向けた取組みを着実に実行し、一般株主と経営陣との間で信頼関係を構築していくことの重要性が、従来以上に高まっていると考える。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート

関連のサービス