2008年11月26日
サマリー
◆大和総研の調べでは、中国の中央政府直属の有力国有企業(中央企業と称される)149社のうち、CSR報告書を作成、またはWEB上でCSRに関する情報を公開している企業は全体の約2割に相当する31社であった(2008年8月末時点)。そこで、本稿では中央企業のCSR報告書に着目し、その分析を行うことで中国におけるCSRの動向を紹介すると共に、その課題と展望を検討した。CSR報告書を作成している企業の多くが、GRIなどの報告書作成ガイドラインを参照し、形式上はステークホルダー、環境性、社会性、経済性に関する報告を実施しているが、各社のCSRに関する情報公開の程度に大きな差があり、欧米企業と同様に取組みを詳細に公開している企業がある一方で、社会貢献活動に関する情報の公開が中心となる企業も見受けられた。今後、中国においては、政府、海外展開を行う中国企業、中国で事業を行う外資系企業の3つのルートによりCSRの普及が進むと考えられ、日本企業のCSR活動もさらに重要性を増すと考えられる。
経営戦略研究 2008秋季号 vol.19
■巻頭言
サブプライム危機と金融取引に対する不信感
■特別寄稿
- 医療の質の向上と効率化に取り組むアメリカ ~医療法人の経営とガバナンス~
■論文
- 地方3公社の財務動向とガバナンスの課題 -(2)住宅供給公社
- 経常収支比率でみる自治体財政
- 民営化の進展とコーポレートガバナンス ~公共事業体における経営管理の一考察~
- 気候変動対策としての排出権取引を考える
- 中国におけるCSRの動向と今後の展望 -中国有力企業のCSR報告書分析から-
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
スチュワードシップとESGは別モノ:英FRC
英国でスチュワードシップの定義を変更、ESG要素を削除
2025年06月13日
-
ISSBがIFRS S2の改正案を公表
温室効果ガス排出量の測定・開示に関する要件を一部緩和
2025年05月16日
-
年金基金のESG投資を実質禁止へ:米労働省
バイデン政権時代に制定されたESG投資促進の規則は廃止へ
2025年05月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日