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今春から本格化する社会保障制度改革

真の意味での社会保障・税一体改革の姿を示すべき

2014年01月29日

経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司

サマリー

◆2013年12月に社会保障改革プログラム法が成立し、施行された。今後は2014~15年の通常国会で個別の法案が審議されることになる。また同法は、内閣に社会保障制度改革推進本部と社会保障制度改革推進会議を設置することを定めている。国民会議では定量的な議論が乏しかったため、推進会議の発足後は定量的な把握や、制度の持続可能性が確保できないと見込まれた場合の追加的な給付抑制や負担増を具体的に検討する会議となることが期待される。


◆制度改革について概観すると、医療・介護分野について重点的に取り上げられており、以前から問題となっていた医療提供体制の見直しが実行段階に入ったことは高く評価できる。また、後発医薬品のさらなる使用促進やICT・レセプトデータを用いた需要抑制といった取組みも行われる予定である。負担の見直しに関しては、低所得者の負担を軽減する一方で高所得者の負担を重くするという応能負担を強める方向性が鮮明である。


◆応能負担を強めることはある程度避けられないが、それは高齢者も含めての話である。高齢者層はとりわけ所得格差が大きく、平均的には現役世代よりも豊かであることを踏まえるべきであろう。応能負担の考え方を公正に導入するためにも、資産を含めて各人の負担能力を正確に把握できるような情報インフラが不可欠である。


◆年金制度については、国民的関心の強い主要な改革論議は先送りされた。特に、マクロ経済スライドについて具体的な改革の方向性が示されなかったのは残念である。今回の制度改革を概観すると、充実化としての給付増加や保険料減免が確実である一方で、重点化・効率化による給付抑制効果が不透明である。給付抑制が想定よりも進まなかった場合に備え、「応益負担」を強めるといった追加策について議論を深めておくべきである。


◆制度改革の全体像が示されたが、それでも政府の財政健全化との整合性は曖昧である。政府は今後、社会保障改革プログラム法で設置が決まった社会保障改革推進会議での議論を経て、財政健全化と整合的な社会保障制度改革の姿を示す必要があろう。

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