サマリー
明治期、昭和初期、高度成長期から現代に至る最高地価地点の変遷について、全国の都市を対象に調査した。その結果、いずれの都市においても河岸・街道沿いから駅前に移転していることがわかった。地方の小都市においては郊外の引力も強い。
さらに最高地価地点が街の中心を示す前提で考察を進めたところ、都市の発展史に関する一定の知見を見出すことができた。第1に、街の中心はときの交通手段に伴って移転すること(交通史観)、第2に、新しい街は既存市街地の外側にできること(辺境革命論)。第3は、旧市街は本来の住まう街として再生すること(街の弁証法)である。
今後、持続可能な都市の検討にあたって想定すべき環境変化は、ネット通販、高齢化、財政制約の3点である。80 年代来の車社会は一巡し、コロナ禍も後押しする形で交通手段の主力が再び徒歩に移りつつある。こうしたことから、居心地が良く歩きたくなる「ウォーカブルなまちづくり」政策は時宜を得ている。街路や水辺が再生し、分散した街が都市公園を介して再結合する方向性だ。人中心の街の原型が徒歩と舟運に最適化された城下町にあるとすれば、今後あるべき街の方向性を城下町2.0 と称することもできるだろう。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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