サマリー
◆地域で再生可能エネルギー(以下、特別な場合を除き、再エネという)導入に取り組む事例は数多く存在するが、インセンティブのひとつと考えられるのは地域活性化である。農林水産省の「『農山漁村再生可能エネルギー法』の活用に関するアンケート調査結果」(2016年2月)によると、関心を示す市町村は地域活性化への期待が非常に大きい。
◆国土交通省がまとめた「平成25年度 再生可能エネルギーの活用による地域活性化に関する調査 事例集」(2014年3月)では、①域内資金循環、②収益の環境事業への活用、③地域ブランドとしての商品販売、④交流人口の増加、⑤環境問題・国土資源管理等への対応に事例を類型化しており、再エネの効果を考えるにあたり示唆に富んでいる。
◆直接的な経済効果が見込みにくくとも、多くの視察者が訪れるようになればまちの“活性”の度合いは向上し、再エネ導入に向けて地域住民が一緒に考え行動を起こすこともまた地域活性化といえる。再エネ導入を地域活性化の観点から捉える際には、多面的に見る必要があり、両者の関係は方程式を解くように明快なものではないと認識した上でその効果を考えることが肝要であろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
地域経済の持続可能性について考える⑨再生可能エネルギー(後編)
再生可能エネルギーの推進と持続的な地域経済への寄与
2016年04月14日
-
地域経済の持続可能性について考える⑥農林水産業(前編)
大転換期にある地域の“農林水産業”の現状と活性化への施策
2015年12月18日
-
地域経済の持続可能性について考える⑤
地域の基礎的なインフラである公共交通機関をどう維持するのか
2015年10月30日
-
地域経済の持続可能性について考える④
住民が地域に永く住み続けるために必要な自治体間“連携”
2015年09月29日
-
地域経済の持続可能性について考える③
観光は地域経済の持続可能性に寄与するのか
2015年08月25日
-
地域経済の持続可能性について考える②
輸移出と自給率のバランスの上で問われる“成長の質”
2015年07月01日
-
地域経済の持続可能性について考える①
人口減少がもたらす地域経済の諸課題
2015年05月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
持続可能な社会インフラに向けて 水道広域化のスケールメリットの検証と課題
足下のコスト削減よりむしろ技術基盤の強化
2025年04月22日
-
水道管路の性能劣化の現状とその対策
都市部の経年化よりむしろ低密度・人口減地域の投資財源不足が課題
2025年03月14日
-
地方創生10年 職種構成に着眼した東京一極集中の要因と対策
どうして若者は東京を目指すのか
2024年12月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日