2021年01月26日
サマリー
◆2020年12月22日、金融審議会銀行制度等ワーキング・グループが報告を取りまとめた。その内容は多岐にわたるが、昨今の金融機関を巡る環境変化を踏まえた、銀行の業務範囲規制や出資規制(議決権取得等制限、いわゆる5%ルールなど)の見直しが盛り込まれている。
◆業務範囲規制の見直しとしては、(銀行が子会社・兄弟会社とすることができる)銀行業高度化等会社について、その業務を拡充することや、登録型人材派遣などについて、(銀行本体の)付随業務として規定することなどが掲げられている。
◆出資規制(議決権取得等制限)の見直しとしては、銀行が、投資専門会社を通じて5%を超えて議決権を取得等することができるベンチャービジネス会社、事業再生会社、事業承継会社などの要件を緩和することが提言されている。
◆報告の提言を踏まえた規制緩和を進めるに当たっては、利益相反や優越的な地位の濫用の防止を図ることが重要だと考えられる。利用者保護、顧客本位をしっかりと確保した上で、提言された諸施策を通じて、「地域経済の活性化」や「デジタル化や地方創生など持続可能な社会の構築」が進展することを期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
コロナ禍における地域銀行の経営課題
資本基盤を強化しつつ、貸出先の中小企業支援が求められる
2020年11月24日
-
事業再生、事業承継などに係る銀行の議決権保有制限の見直し案
いわゆる5%ルールを一部緩和
2019年08月22日
-
資金決済法等改正法案 情報利活用に伴う金融機関の業務範囲見直し
保有する情報を第三者に提供する業務を追加
2019年05月16日
-
FinTech対応 銀行の議決権保有規制等の緩和
銀行法の5%ルールなどの見直し
2016年04月13日
同じカテゴリの最新レポート
-
企業価値担保権付き融資の引当等の考え方
将来情報・定性情報を適切に債務者区分・格付に反映
2025年09月01日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
令和6年金商法等改正法 公開買付制度の改正内容の詳細
30%ルール適用除外となる僅少買付け等は0.5%未満の買付け等に
2025年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日