総会前開示の進展と今後求められる取組み

2025年3月期決算会社では約6割が総会前開示を実施

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サマリー

◆2025年3月28日、加藤金融担当大臣が全上場会社に対して、定時株主総会前に有価証券報告書を提出する、いわゆる総会前開示について要請を行った。

◆この要請を受けて、東京証券取引所に上場する2025年3月期決算会社の多くが総会前開示を進めた。定時株主総会開催日前に有価証券報告書を提出したのが1,284社(全体の58.0%)、定時株主総会開催日当日に有価証券報告書を提出したのは451社(全体の20.4%)であった。

◆ただし、株主総会前日の有価証券報告書の開示はあくまでも第一歩であり、株主総会の3週間以上前の開示が理想的とされる。金融庁の協議会では、この3週間以上前の開示に向けて、有価証券報告書の提出日の前倒し、株主総会日の後倒し、決算期の前倒しといった選択肢や、有価証券報告書を提出した企業について事業報告等の作成義務を免除する「開示書類の一本化」について提案されている。

◆総会前開示自体が目的化するのではなく、有用な情報を株主が十分に読み込む時間を確保し、エンゲージメントや議決権行使に資するという本来の目的に立ち返り、企業価値と株主リターンの向上のための総会前開示の実現に向けた取組みを進めていくことが望ましい。

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