2022年12月23日
サマリー
◆2022年11月18日、欧州証券市場監督局(ESMA)は、ESMA版“Names Rule”のガイドライン案を公表している。
◆ESMA版“Names Rule”のガイドライン案は、形式的には9条ファンドも対象としているが、実質的なターゲットは8条ファンドである。すなわち、9条ファンドであれば優にクリアできているであろう「最低水準」が提案されている。それがゆえに、これまでに水面下で進められていた、「8条ファンドの最低水準」の議論の具現化といえる。
◆もっとも、ファンド名に紐づけるという形での数値基準が提案されてはいるものの、そこで占められるべき投資の「質」の担保の仕方は、引き続き曖昧である。すなわち、その「質」の担保の仕方として、何らかの外形的な制約が新たに提案されているわけではない。
◆また、ファンド名は何ら‘E’(環境)又は‘S’(社会)の促進を匂わせない名称にして、それを「8条ファンド」として運用しているファンドがあった場合、それらのファンドはESMA版“Names Rule”のガイドライン案の対象外であるように思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
SFDRレベル2、監督当局によるQ&Aの更新、ミスリーディングな表記あり?
2022年12月07日
-
SFDR、天然ガス・原子力への出資の開示へ
【商品レベル】「EUタクソノミー適格割合」、内訳を細分化
2022年11月16日
-
SFDR、レベル1ベースの開示実例(更新②)
EU資産運用会社等のサステナビリティ開示規制、大手の対応状況
2022年09月16日
-
「グリーンウォッシング」対策、まずは商品名から?
2022年06月28日
-
8条ファンドとEUタクソノミー適格割合
EUタクソノミー適格割合の開示、「8条ファンド+」のみか
2022年06月15日
-
9条ファンドのEUタクソノミー適格割合、前倒しでの開示へ
8条ファンド又は9条ファンドの記述、プロスペクタスの3割に記載
2022年04月07日
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日

