8条ファンドとEUタクソノミー適格割合

EUタクソノミー適格割合の開示、「8条ファンド+」のみか

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆欧州委員会は、2022年4月6日、欧州連合(EU)を拠点とする資産運用会社等のサステナビリティ開示規制を定めるSFDRのレベル2(細則)を採択している。

◆レベル2についての ‘Q&A’における欧州委員会の回答を「解釈」すると、8条ファンドのうち、EUタクソノミー適格割合の開示が求められるのは、「8条ファンド+」のみであろう。

◆また、‘Q&A’によると、EUタクソノミー適格割合の開示にあたっては、「信頼できるデータが不足している」という「言い逃れ」は認められず、その場合は「ゼロ%」と記載しなければならない。さらに、ESAsステートメントによると、プロスペクタスにおけるEUタクソノミー適格割合の記述は、「拘束力のあるコミットメント」であり、そのブリーチ(不履行)は各国のルールにおいてペナルティの対象となる。

◆なお、内閣官房は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」と共に公表した「フォローアップ」(2022年6月7日閣議決定)にて、「ESG市場の信頼性向上に向けて、資産運用会社に対して適切な運用プロセスの構築・明確化や開示の充実、顧客への丁寧な説明などを一層求めていくため、2022年度末を目途に監督指針について所要の措置を講ずる」と述べている。

◆そのため、現状ではSFDR対応の必要がない日本の資産運用会社にあっても、ここでいう「監督指針」での「所要の措置」に備えるべく、SFDRを参照しておくことが有用となろう。

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