2022年06月15日
サマリー
◆欧州委員会は、2022年4月6日、欧州連合(EU)を拠点とする資産運用会社等のサステナビリティ開示規制を定めるSFDRのレベル2(細則)を採択している。
◆レベル2についての ‘Q&A’における欧州委員会の回答を「解釈」すると、8条ファンドのうち、EUタクソノミー適格割合の開示が求められるのは、「8条ファンド+」のみであろう。
◆また、‘Q&A’によると、EUタクソノミー適格割合の開示にあたっては、「信頼できるデータが不足している」という「言い逃れ」は認められず、その場合は「ゼロ%」と記載しなければならない。さらに、ESAsステートメントによると、プロスペクタスにおけるEUタクソノミー適格割合の記述は、「拘束力のあるコミットメント」であり、そのブリーチ(不履行)は各国のルールにおいてペナルティの対象となる。
◆なお、内閣官房は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」と共に公表した「フォローアップ」(2022年6月7日閣議決定)にて、「ESG市場の信頼性向上に向けて、資産運用会社に対して適切な運用プロセスの構築・明確化や開示の充実、顧客への丁寧な説明などを一層求めていくため、2022年度末を目途に監督指針について所要の措置を講ずる」と述べている。
◆そのため、現状ではSFDR対応の必要がない日本の資産運用会社にあっても、ここでいう「監督指針」での「所要の措置」に備えるべく、SFDRを参照しておくことが有用となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
9条ファンドのEUタクソノミー適格割合、前倒しでの開示へ
8条ファンド又は9条ファンドの記述、プロスペクタスの3割に記載
2022年04月07日
-
8条ファンドの最低水準とESG格付け
2022年03月29日
-
SFDR、レベル1ベースの開示実例(更新)
EU資産運用会社等のサステナビリティ開示規制、大手の対応状況
2022年03月11日
-
SFDRのレベル2、「2023.1.1」開始に後ずれ
CFA協会公表のガイドラインとの整合性にも留意が必要か
2021年12月24日
-
EU金融機関等のサステナビリティ開示規制
「EUタクソノミー」を踏まえた開示項目の議論
2020年07月02日
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日