2022年04月07日
サマリー
◆2022年3月後半、欧州連合(EU)の銀行・証券・保険の監督当局(ESAs)と、ESAsの一角を成す欧州証券市場監督局(ESMA)はそれぞれ、EUを拠点とする資産運用会社等のサステナビリティ開示規制を定めるSFDRの運用方針について、重要な更新情報を公表している。
◆ESAsは、SFDRのレベル2(細則)が適用開始される見込みである2023年1月1日以前であっても、9条ファンドの契約前開示(プロスペクタス)や定期報告(運用報告書)においては、EUタクソノミー適格割合の数値を開示すべき旨提言している。
◆もっとも、本稿執筆時点では、レベル2は未採択である。そこで、ESAsは、EUタクソノミー適格割合の算出・開示にあたっては、レベル2のドラフトの提案を参照すべき旨提言している。
◆また、ESMAによると、EU籍のファンド27,000本をサンプルとして、各商品のプロスペクタスを調査したところ、そのうちの3割に、8条ファンド又は9条ファンドに関する記述が含まれている。
◆もっとも、欧州委員会は、現時点で流通している「8条ファンド」の一部について、いわゆる「グリーンウォッシング」の懸念があるとして、8条ファンドに何らかの「最低水準」を設けることを検討しているという。ESMAとしては、技術的な助言の提出という形で、欧州委員会の検討に助力することとしている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
8条ファンドの最低水準とESG格付け
2022年03月29日
-
SFDR、レベル1ベースの開示実例(更新)
EU資産運用会社等のサステナビリティ開示規制、大手の対応状況
2022年03月11日
-
SFDRのレベル2、「2023.1.1」開始に後ずれ
CFA協会公表のガイドラインとの整合性にも留意が必要か
2021年12月24日
-
EU金融機関等のサステナビリティ開示規制
「EUタクソノミー」を踏まえた開示項目の議論
2020年07月02日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
-
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日