9条ファンドのEUタクソノミー適格割合、前倒しでの開示へ

8条ファンド又は9条ファンドの記述、プロスペクタスの3割に記載

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2022年3月後半、欧州連合(EU)の銀行・証券・保険の監督当局(ESAs)と、ESAsの一角を成す欧州証券市場監督局(ESMA)はそれぞれ、EUを拠点とする資産運用会社等のサステナビリティ開示規制を定めるSFDRの運用方針について、重要な更新情報を公表している。

◆ESAsは、SFDRのレベル2(細則)が適用開始される見込みである2023年1月1日以前であっても、9条ファンドの契約前開示(プロスペクタス)や定期報告(運用報告書)においては、EUタクソノミー適格割合の数値を開示すべき旨提言している。

◆もっとも、本稿執筆時点では、レベル2は未採択である。そこで、ESAsは、EUタクソノミー適格割合の算出・開示にあたっては、レベル2のドラフトの提案を参照すべき旨提言している。

◆また、ESMAによると、EU籍のファンド27,000本をサンプルとして、各商品のプロスペクタスを調査したところ、そのうちの3割に、8条ファンド又は9条ファンドに関する記述が含まれている。

◆もっとも、欧州委員会は、現時点で流通している「8条ファンド」の一部について、いわゆる「グリーンウォッシング」の懸念があるとして、8条ファンドに何らかの「最低水準」を設けることを検討しているという。ESMAとしては、技術的な助言の提出という形で、欧州委員会の検討に助力することとしている。

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