SFDR、レベル1ベースの開示実例(更新)

EU資産運用会社等のサステナビリティ開示規制、大手の対応状況

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆SFDRは、本則である「レベル1」が、2021年3月10日より適用されている。本稿では、‘TAI / P&I 500’のうち、SFDRの開示情報の取得が容易であった33社の資産運用会社(FMP)を上位から選択し、レベル1ベースの開示実例(2022年1月31日時点)を調査した。

◆ESGスコアの判定に採用された外部のデータプロバイダーとしては、MSCI、Sustainalytics、ISS ESGの3社が主流となっている。

◆サステナビリティへの悪影響(‘PASI’)の開示について、「従業員500人未満につき‘comply’ではなく‘explain’」のオプションを採用しているFMPは1社であった。細則(レベル2)が定める‘PASI’の開示項目(案)を踏まえ、各項目のデータアクセスの見込みを提示しているFMPが3社あった。具体的な社名入りの‘Exclusion List’を開示しているFMPが7社あった(列挙された日本企業は計97社)。

◆8条ファンド・9条ファンドのボリューム(全商品に占める割合)を開示しているFMPは3社であった。8条ファンド・9条ファンドの「イメージ」を開示しているFMPは13社であった。8条ファンドのアセットアロケーションを開示しているFMPは4社、9条ファンドのアセットアロケーションを開示しているFMPは1社であった。

◆なお、欧州委員会は、8条ファンドの区分について、いわゆる「グリーンウォッシング」(うわべだけの欺瞞的な環境訴求)の懸念があるとして、何らかの「最低水準」を設けることを検討しているという。

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