英国銀行規制改革、スタンス軟化の兆し

ホワイトペーパー公表:「UK フィニッシュ」は健在も、レバレッジは軟化

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2012年6月14日、英国政府は、独立銀行委員会(ICB)による、金融の安定化と競争を促進するための改革案の最終報告を法制化するためのコンサルテーション文書(ホワイトペーパー)を公表している。

◆ホワイトペーパーは、ICBの最終報告(リングフェンスおよび損失吸収力の強化)を概ね踏襲した内容となっている。

◆もっとも、ホワイトペーパーは、主に5つの点で、ICBの最終報告の内容を緩和しているといえる。それは、(1)小規模銀行に対するリングフェンスの免除、(2)リングフェンス銀行における「単純なデリバティブ商品」の販売の許容、(3)バーゼルⅢの水準を上回るレバレッジ比率の否定、(4)UKの金融の安定に対するリスクを喚起しない海外オペレーションをPLACの算定から除外することの許容、そして(5)破綻処理バッファーの不採用である。

◆このうち、(3)に対しては、ICB委員より不服の意が表明されている。

◆また、ICB委員は、(4)で「リスクがないこと」の証明責任が銀行側にある旨が明確にされていないことに対する懸念を示している。

◆ホワイトペーパーへのコメント期限は、2012年9月6日である。

◆英国政府は、2012年秋に法案を公表することとしている。そして、現政権の任期が満了する2015年5月までに法制化を完了することとしている。法制化したルールは、2019年までに施行することしている。

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