UKフィニッシュ、海外オペレーションは除外?

ICB最終報告に対する政府見解:リングフェンス規制の適用除外も検討

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2011年12月19日、英国政府は、独立銀行委員会(ICB)による、金融の安定化と競争を促進するための改革案の最終報告に対する正式なレスポンス(政府レスポンス)を公表している。

◆政府レスポンスは、正式なコンサルテーションではなく、諮問機関であるICBの最終報告に対する英国政府のイニシャル・ビューを示すものである。英国政府は、2012年春に正式なコンサルテーション文書(ホワイトペーパー)を公表することとしている。

◆政府レスポンスは、ICBの最終報告の提案に概ね同意しつつ、若干の緩和を検討している。

◆まず、政府レスポンスは、ICBの結論をくつがえし、リングフェンス規制に対する一定の適用除外を設ける必要性を再検討する意向を示している。

◆適用除外の対象としては、納税者負担による救済(ベイルアウト)を必要としない規模の銀行を想定している。

◆そして、政府レスポンスは、「UKフィニッシュ」、すなわちPLAC(Primary Loss-AbsorbingCapacity)の維持要求に関して、グループ(連結)単位で適用されるとするICBの提案に同意しつつ、UKの納税者に対するリスクを喚起しない(と銀行が証明できる)海外オペレーションについては、その適用を除外することを認める意向を示している。

◆すなわち、これらの海外オペレーションの自己資本規制は、バーゼル委による国際基準の遵守を定めるEU自己資本規制(CRD)その他のローカル基準に従えば足りるとしている。

◆なお、英国政府のホワイトペーパーは、EUの危機管理枠組みに関する法案、およびFSAのリビング・ウィルに関する最終ルールとの間に密接な相互関連性を有することから、これらの規制イニシアティブと合わせて検証すべきものといえよう。

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