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EU、バーゼルⅢ導入の法案公表(CRDⅣ)

資本バッファーの弾力的な運用によりEU 加盟国の裁量を確保

金融調査部 主任研究員 鈴木 利光

サマリー

◆欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、2011年7月20日、EU自己資本規制(CRD)の第4弾(CRDⅣ)の法案(CRDⅣドラフト)を公表している。適用対象は、EUに拠点を置く銀行及び投資業者(investmentfirm)である。

◆CRDⅣドラフトのメインテーマは、バーゼルⅢのEUルールへの「落とし込み」である。CRDⅣドラフトの公表により、EUは、世界で最初にバーゼルⅢのルール化手続きに着手した管轄となっている。キーワードは、“SingleRuleBook”である。

◆CRDⅣドラフトの公表に前後して、その“SingleRuleBook”というキーワードが独り歩きしたせいか、EU加盟国の裁量が制限されるという懸念が相次いだが、これはカウンターシクリカルな資本バッファーの弾力的な運用により解消されうることが明らかになっている。

◆CRDⅣドラフトは、バーゼルⅢの内容を基本的に尊重しつつ、細部ではバーゼルⅢと異なる(バーゼルⅢを緩和した)提案をしている。例えば、バーゼルⅢでは、ダブル・ギアリングを防止すべく、連結対象外の金融機関(保険会社等)への重要な出資の普通株等Tier1からの限度額控除が提案されているが、CRDⅣドラフトにはこのような提案は含まれていない。また、CRDドラフトでは、バーゼルⅢと異なり、銀行の完全連結子会社による普通株式の発行に伴って生じる少数株主持分を、最低所要水準及び資本保全バッファーのみならず、カウンターシクリカルな資本保全バッファーにも充当することを認める提案をしている。

◆もっとも、CRDⅣドラフトは、バーゼルⅢには含まれていない提案もしている。その一つが、罰則規定であり、「年間売上高(前年度)の10%」という罰金を提案している。

◆CRDⅣドラフトは、2013年1月から適用が開始されるバーゼルⅢに合わせて、2012年末までに正式ルールとされることが想定されている。

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