EUベイルイン、シニア債を満期で異なる扱い?

ディスカッション・ペーパー公表による議論再開:法案の公表は6月か

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2012年3月30日、EUの行政執行機関である欧州委員会は、EUにおける「ベイルイン」に関するディスカッション・ペーパー(DP)を公表している。

◆DPは、欧州委員会が2011年1月6日に公表した、EU危機管理枠組みに関するコンサルテーション文書が提案した金融機関の破綻処理ツールのひとつであり、EU危機管理枠組みの議論における最大の注目であるベイルインに焦点を当てたものとなっている。

◆DPは主に、ベイルインのトリガー・ポイント、目的、スコープ、ヒエラルキー、最低保有制限、適用時期等を議論している。

◆トリガー・ポイントは、金融機関の「破綻時もしくは実質的破綻時」としている。これは、自己資本規制を満たさなくなった場合や、資産が負債を下回った場合等を想定している。

◆ベイルインの目的は、資本増強を目的とした株式消却、株式転換および/または元本削減である。

◆ベイルインのスコープには、デリバティブ負債を含む広範な金融商品が包含される。もっとも、担保付負債、レポ負債、付保預金、短期負債(満期1ヶ月未満)等は除外される。

◆ヒエラルキーは、まずは株式、株式に類似する負債、そして劣後債がベイルインされる。残るシニア債の間では、長期負債(満期1年以上)が先にベイルインされ、不足がある場合に初めて適用除外に該当しない短期負債(満期1ヶ月以上1年以下)をベイルインする。CCPで決済されるデリバティブ負債は、その満期にかかわらず、短期負債に分類される。

◆最低保有制限は、資本、(資本に該当しない)劣後債、満期1年超の長期負債の合計を、「総負債の10%以上」とする。デリバティブ負債やグループ内の負債は「総負債の10%以上」にカウントされない。

◆適用時期、そして既存の金融商品に対するグランドファザリングの有無が示されていない。

◆欧州委員会は、DPへの意見を基にして、2012年6月のG20前に法案を公表する予定である。

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