サマリー
◆ギリシャの民間向け債務再編にいったんの目処がついた。しかし、再再編、再支援の懸念は払拭されていない。実際、ギリシャという国の公的債務が存在する限り、支援が繰り返される可能性は残存しよう。景気が悪く税収が増えないといった循環的苦境もさることながら、同国の固定資本形成が過去4年で半分に減っており、成長基盤が損なわれつつある。
◆ユーロ圏危機対応の焦点はESM等のセーフティネット強化に移ったといわれ、LTROの市場沈静化効果がユーロ圏首脳の危機感を薄れさせ、議論の進捗が滞っているともいわれる。しかし、ESMが多少増額されたところで、予算制約のないECBのLTROほどの効果を持つことはない。いずれも財政統合への議論が深化するまでの過渡期的な時間稼ぎに過ぎず、セーフティネット強化の議論の遅れを深刻な問題と見る必要はなかろう。
◆ユーロ圏危機対応の焦点はESM等のセーフティネット強化に移ったといわれ、LTROの市場沈静化効果がユーロ圏首脳の危機感を薄れさせ、議論の進捗が滞っているともいわれる。しかし、ESMが多少増額されたところで、予算制約のないECBのLTROほどの効果を持つことはない。いずれも財政統合への議論が深化するまでの過渡期的な時間稼ぎに過ぎず、セーフティネット強化の議論の遅れを深刻な問題と見る必要はなかろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日