賃金上昇率は2009年以来の高さに

2018年1月米雇用統計:雇用者数も前月差+20万人と堅調

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2018年02月05日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2018年1月の非農業部門雇用者数は前月差+20.0万人と前月から増加幅が拡大し、市場予想(Bloomberg調査:同+18.0万人)を上回った。過去分に関して、2017年12月分が上方修正される一方で、11月分が下方修正され、2ヵ月合計では▲2.4万人下方修正されたことも併せて考えると、概ね市場予想に沿った内容であったと言える。


◆家計調査による1月の失業率は前月から横ばいの4.1%と、市場予想通りの結果となった。失業率は引き続き低水準で推移しており、労働需給は非常にタイトな状況が続いている。


◆今回の雇用統計において、サプライズとなったのは賃金動向である。1月の民間部門の平均賃金は、前月比+0.3%となり、市場予想(同+0.2%)を上回った。加えて、過去分が修正された影響もあり、民間部門時給の前年比変化率は+2.9%と、市場予想(同+2.6%)を大きく上回る、2009年6月以来の高い伸びとなった。


◆労働需給のひっ迫が続くことで、今回、加速が見られた賃金上昇率は先行きも緩やかな加速が続くと見込む。企業による労働力不足に対する懸念は一層高まっており、活用できる労働力が限られる中で、賃金上昇圧力は着実に強まっている。加えて、税制改革を受けて、賃上げや一時金の給付を検討する企業が増えていることが伝えられており、こうした動きの広がりは賃金上昇率の加速を後押しする要因となろう。

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