サマリー
◆10月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)では、いわゆるQE3(量的緩和第3弾)に伴う資産買い入れを終了することが決定された。事実上のゼロ金利政策を維持し、「相当な期間(considerable time)継続する」との文言も変更しなかった。
◆声明文における経済の現状認識では、労働市場のさらなる改善とインフレ期待の下振れについての記述が増えた点が特記される。だが、実際には評価が分かれた意見を両論併記する格好で、米国経済が緩やかな回復過程にあるとの主張に変化はないと言える。
◆利上げ開始時期については示唆されず、新たに、利上げの時期は今後の経済指標の内容次第で、前倒しも後ろ倒しもあり得ることが声明文に明記された。ゼロ金利政策を「相当な期間継続する」という言葉を変更せずに補足説明した形となった。
◆総じて見れば、米国経済は緩やかな回復基調にあるという、従来の主張通りと言える。労働市場では、注視される範囲が失業者を含めた「労働市場の質」から「雇用の質」に狭まり、賃金上昇からの消費拡大により、内生的なインフレ率上昇が生じるかが注目されよう。
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