米国の公的年金、ソーシャルセキュリティ

枯渇する恐れがある公的年金の信託基金

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2013年08月30日

  • 土屋 貴裕
  • ニューヨークリサーチセンター 上野 まな美

サマリー

◆1930年代に成立したソーシャルセキュリティプログラムは、高齢者や遺族、障害者に対して給付金を支払う社会保障制度である。米国の公的年金に相当し、2013年の受給者は約5,800万人、総額は8,160億ドルと見込まれている。


◆米国人の平均寿命が延び、ベビーブーマー世代が退職するにつれて、退職した高齢者が増加する。高齢者人口の増加により、賦課方式のソーシャルセキュリティを支える勤労者の割合が相対的に小さくなることが予測される。


◆2013年のソーシャルセキュリティ信託理事会の年次報告書によると、ソーシャルセキュリティ信託基金は2021年から積立金の取り崩しが始まり、2033年に枯渇する恐れがある。政府は今すぐにでも対策を取るべきであると、早急な改革を勧告している。


◆ソーシャルセキュリティの改革は、長年にわたって政府の課題であり、いくつかの改革案が出されたが、議会による決議には至っていない。だが、信託基金の積立金取り崩しと枯渇までの時期は近付いており、段階的な改革のための時間は限られてきている。

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