サマリー
◆日本経済は「景気後退」局面入りの可能性:2015年7-9月期GDP一次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2015年度が前年度比+0.8%(前回:同+1.0%)、2016年度が同+1.5%(同:同+1.7%)である。足下の日本経済は「景気後退」局面入りの可能性があるが、当社のメインシナリオでは、①アベノミクスによる好循環が継続すること、②米国向けを中心に輸出が徐々に持ち直すことなどから、2016年にかけて緩やかな回復軌道に復する見通しだ(→詳細は、熊谷亮丸他「第187回 日本経済予測」(2015年11月20日)参照)。
◆米国が「出口戦略」を講じると何が起きるか?:現在、中国をはじめとする新興国経済の減速などを背景に、グローバル経済は深刻な「世界株安・世界生産減」の局面に突入する可能性が生じている。今回のレポートでは、米国が早晩「出口戦略」を講じる可能性が高まっていることを踏まえて、過去にグローバル経済が「世界株安・世界生産減」に陥った局面の特徴を概観すると同時に、今後の動向を占ううえで重要な先行指標および深刻な「世界株安・世界生産減」に転落するか否かを分けるメルクマール(判断基準)について詳細な分析を行った。当社は、基本シナリオとして、FEDの利上げペースが景気見合いで行われ、金融市場や実体経済を大きく動揺させることはないと想定しているものの、FEDの金融政策の動向については引き続き慎重に見極めていく必要があるだろう。
◆日本経済のリスク要因:日本経済のリスク要因としては、①中国経済の下振れ、②米国の出口戦略に伴う新興国市場の動揺、③地政学的リスクを背景とする世界的な株安、④ユーロ圏経済の悪化、⑤財政規律喪失への懸念を背景とする将来的な「トリプル安(債券安・円安・株安)」の進行、の5点に留意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2025年7月号(No.464)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年06月25日
-
立ち止まる金融政策、ただし一服ムードはない
2025年06月25日
-
日本経済見通し:2025年6月
トランプ関税による足元の影響は?/参院選の争点である家計支援策
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日