日本経済見通し:米国が「出口戦略」を講じると何が起きるか?
日本経済は「景気後退」局面入りの可能性はあるが、次第に回復へ
2015年11月24日
サマリー
◆日本経済は「景気後退」局面入りの可能性:2015年7-9月期GDP一次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2015年度が前年度比+0.8%(前回:同+1.0%)、2016年度が同+1.5%(同:同+1.7%)である。足下の日本経済は「景気後退」局面入りの可能性があるが、当社のメインシナリオでは、①アベノミクスによる好循環が継続すること、②米国向けを中心に輸出が徐々に持ち直すことなどから、2016年にかけて緩やかな回復軌道に復する見通しだ(→詳細は、熊谷亮丸他「第187回 日本経済予測」(2015年11月20日)参照)。
◆米国が「出口戦略」を講じると何が起きるか?:現在、中国をはじめとする新興国経済の減速などを背景に、グローバル経済は深刻な「世界株安・世界生産減」の局面に突入する可能性が生じている。今回のレポートでは、米国が早晩「出口戦略」を講じる可能性が高まっていることを踏まえて、過去にグローバル経済が「世界株安・世界生産減」に陥った局面の特徴を概観すると同時に、今後の動向を占ううえで重要な先行指標および深刻な「世界株安・世界生産減」に転落するか否かを分けるメルクマール(判断基準)について詳細な分析を行った。当社は、基本シナリオとして、FEDの利上げペースが景気見合いで行われ、金融市場や実体経済を大きく動揺させることはないと想定しているものの、FEDの金融政策の動向については引き続き慎重に見極めていく必要があるだろう。
◆日本経済のリスク要因:日本経済のリスク要因としては、①中国経済の下振れ、②米国の出口戦略に伴う新興国市場の動揺、③地政学的リスクを背景とする世界的な株安、④ユーロ圏経済の悪化、⑤財政規律喪失への懸念を背景とする将来的な「トリプル安(債券安・円安・株安)」の進行、の5点に留意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年02月26日
有価証券の評価②
「満期保有目的の債券」の分類基準と評価方法について解説
-
2021年02月26日
2021年1月鉱工業生産
生産指数は春節要因や設備投資の回復を受け3ヶ月ぶりの上昇
-
2021年02月26日
新局面を迎えるナウキャスティング
新型コロナが促すマクロ経済分析へのデータサイエンスの本格的導入
-
2021年02月25日
量的緩和政策下の金融調節
金融調節から非伝統的金融政策を考える②
-
2021年02月25日
コロナ危機と選挙の関係~米欧編~
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月30日
東証市場再編の概要とTOPIXの見直し
影響が大きそうな流通株式の定義の変更
-
2020年04月13日
緊急経済対策の30万円の給付対象者概要と残された論点
ひとり親世帯や年金を受給しながら働く世帯などに検討の余地あり
-
2020年12月28日
改正会社法施行規則 取締役の報酬等の決定方針
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目