「過去最大の経常収支黒字」に潜む課題

企業の「海外で稼ぐ」姿勢を反映し、投資収益の寄与が拡大

RSS

2026年04月16日

サマリー

◆財務省・日本銀行「国際収支統計」によれば、2025年の日本の経常収支は32.2兆円と過去最大の黒字となった。経常黒字の内訳はこの20年で大きく変化し、貿易・サービス収支は赤字に転換した一方、対外投資収益を中心とした第一次所得収支の黒字拡大が経常黒字を大きく押し上げるようになった。

◆「輸出」による外需の取り込みから「投資収益」によるものへとシフトが進んだことにより、経常黒字の恩恵は家計へ届きにくくなった。輸出が増加すれば国内生産が拡大し、雇用者報酬の上昇を通じて家計に恩恵が及びやすい一方、対外投資収益の増加にはこうした波及経路が乏しいためだ。企業の海外展開の果実を家計がより享受できるよう家計の金融資産形成を後押しする取り組みなどが重要だ。

◆貿易・サービス収支は、貿易ではエネルギー輸入への依存、サービスではデジタル関連や再保険の手数料支払いといった構造的な赤字要因を背景に、当面は赤字基調で推移しやすい。このため、経常収支の黒字は第一次所得収支に依存する構図が続くとみられるほか、中期的には高齢化の進展に伴う家計貯蓄率の低下が、経常黒字幅の縮小圧力として作用しやすい。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート