サマリー
◆財務省・日本銀行「国際収支統計」によれば、2025年の日本の経常収支は32.2兆円と過去最大の黒字となった。経常黒字の内訳はこの20年で大きく変化し、貿易・サービス収支は赤字に転換した一方、対外投資収益を中心とした第一次所得収支の黒字拡大が経常黒字を大きく押し上げるようになった。
◆「輸出」による外需の取り込みから「投資収益」によるものへとシフトが進んだことにより、経常黒字の恩恵は家計へ届きにくくなった。輸出が増加すれば国内生産が拡大し、雇用者報酬の上昇を通じて家計に恩恵が及びやすい一方、対外投資収益の増加にはこうした波及経路が乏しいためだ。企業の海外展開の果実を家計がより享受できるよう家計の金融資産形成を後押しする取り組みなどが重要だ。
◆貿易・サービス収支は、貿易ではエネルギー輸入への依存、サービスではデジタル関連や再保険の手数料支払いといった構造的な赤字要因を背景に、当面は赤字基調で推移しやすい。このため、経常収支の黒字は第一次所得収支に依存する構図が続くとみられるほか、中期的には高齢化の進展に伴う家計貯蓄率の低下が、経常黒字幅の縮小圧力として作用しやすい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年8月全国消費者物価
電気・ガス料金支援でエネルギー価格下落、コアCPI上昇率は低下
2026年09月18日
-
日銀、9月会合で1.25%に利上げ 今後も利上げ路線を堅持
家計の利払い負担増は賃金上昇が吸収も利上げ長期化リスクに留意
2026年09月18日
-
2026年8月貿易統計
中東情勢による資源高が続き、4カ月連続の貿易赤字
2026年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

