サマリー
◆2023年1-3月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比+5.0%、経常利益は同+4.3%と、2四半期ぶりに増収増益となった。ただし、製造業は外需の縮小や価格転嫁の遅れを背景に増収減益となった。非製造業は、経済活動の正常化の進展などから増収増益となった。季節調整値で見ると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比+0.5%と6四半期連続で増収を維持し、経常利益は同+6.2%と3四半期ぶりに増益となった。また、設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比+10.0%となり、季節調整値では前期比+2.7%と4四半期連続で増加した。
◆2023年4-6月期以降の経常利益(季節調整値)は前期比で増加傾向が続くだろう。非製造業では新型コロナウイルスの感染症法上の「5類」移行やインバウンド(訪日外客)の増加などが追い風となる。また、半導体不足の解消により自動車の挽回生産が始まることで、製造業では輸送用機械のほか、鉄鋼や金属製品などの中間財セクターでも収益が押し上げられるだろう。他方、欧米を中心に景気が減速していることに加え、中国では財需要の回復の遅れから、その他の輸出企業の収益は伸び悩むとみられる。設備投資は、非製造業を中心に増加傾向が続くとみている。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2023年1-3月期GDP2次速報(6月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+2.3%と、1次速報(同+1.6%)から上方修正されると予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日