2023年1-3月期法人企業統計と2次QE予測

2四半期ぶりの増収増益も製造業は低調/2次QEは上方修正を予想

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2023年06月01日

  • 経済調査部 エコノミスト 岸川 和馬
  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆2023年1-3月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比+5.0%、経常利益は同+4.3%と、2四半期ぶりに増収増益となった。ただし、製造業は外需の縮小や価格転嫁の遅れを背景に増収減益となった。非製造業は、経済活動の正常化の進展などから増収増益となった。季節調整値で見ると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比+0.5%と6四半期連続で増収を維持し、経常利益は同+6.2%と3四半期ぶりに増益となった。また、設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比+10.0%となり、季節調整値では前期比+2.7%と4四半期連続で増加した。

◆2023年4-6月期以降の経常利益(季節調整値)は前期比で増加傾向が続くだろう。非製造業では新型コロナウイルスの感染症法上の「5類」移行やインバウンド(訪日外客)の増加などが追い風となる。また、半導体不足の解消により自動車の挽回生産が始まることで、製造業では輸送用機械のほか、鉄鋼や金属製品などの中間財セクターでも収益が押し上げられるだろう。他方、欧米を中心に景気が減速していることに加え、中国では財需要の回復の遅れから、その他の輸出企業の収益は伸び悩むとみられる。設備投資は、非製造業を中心に増加傾向が続くとみている。

◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2023年1-3月期GDP2次速報(6月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+2.3%と、1次速報(同+1.6%)から上方修正されると予想する。

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