2022年1-3月期法人企業統計と2次QE予測

半導体関連の堅調さで前期比増収増益/2次QEは僅かな上方修正を予想

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2022年06月01日

  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆2022年1-3月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比+7.9%、経常利益は同+13.7%と増収増益となった。製造業では半導体関連の需要が堅調であったほか、円安が進行したことも輸出関連業種の売上の増加を後押しした。新型コロナウイルスの感染が再拡大する中でも人出は前年同期より増加しており、非製造業の業況も改善した。季節調整値で見ても、売上高は前期比+1.9%、経常利益は同+0.2%と小幅ながら2四半期連続で増収増益となった。また、設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比+5.0%となり、季節調整値では前期比+0.8%と2四半期連続で増加した。製造業、非製造業ともに、設備投資は緩やかな回復傾向にある。

◆4-6月期以降の企業収益は改善が続くだろう。経済活動の正常化の進展が企業収益の追い風となるとみられる。一方、4-6月期以降の設備投資は弱含んで推移するとみている。ロシアによるウクライナ侵攻などで先行き不透明感が強まり、設備投資を先送りする動きが広がっているからだ。とはいえ、企業の潜在的な投資需要は高まっている。国内で経済活動の正常化が進むことは特に非製造業の設備投資の追い風になることもあり、いずれは能力増強投資などの機械投資が持ち直すだろう。

◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2022年1-3月期GDP2次速報(6月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲0.8%と、1次速報(同▲1.0%)から僅かに上方修正されると予想する。

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