サマリー
◆緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全面解除されるなど新型コロナウイルスの感染状況が大幅に改善したことで、接触型サービス消費の回復への期待が高まっている。本稿では接触型サービス消費のうち旅行関連に絞り、当面の需要喚起策として期待される地域観光事業支援について考察する。加えて今後、Go Toトラベルキャンペーンが再開された際の経済効果を示すとともに、その需要喚起策の在り方を探る。
◆Go Toトラベルキャンペーンが再開された時の経済効果(GDPベース)を試算すると、直接効果で2.8兆円、波及効果も含めると3.7兆円という結果が得られた。人泊数に換算すると、2.1億人泊分の需要を創出し、2020年10、11月と同じペースで利用されると8.9カ月間キャンペーンを継続することができる。
◆Go Toトラベルキャンペーンの制度の見直しにあたっては、現在検討されているワクチン接種や検査証明の活用以外にも以下の点が求められよう。まず、感染拡大時にキャンペーンを停止する際の基準を予め設け、前回のようなキャンセル対応などの混乱が生じないようにするべきである。加えて、政策効果が大きい分、制度終了後に需要が急減することが懸念される。そのため、割引率を段階的に引き下げるなどの工夫も重要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く
2020年10月15日
-
Go To キャンペーンは観光業の起爆剤となるか?
「ふっこう割」から読み解く政策効果と今後の展望
2020年06月25日
-
Go To トラベル利用、「高価格帯に偏在」が意味する2つのこと
2020年12月07日
-
スポーツの祭典は2022年も日本で開催
~ワールドマスターズゲームズへの期待~
2021年10月11日
-
消費データブック(2021/10/18号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2021年10月18日
-
2021年8月消費統計
緊急事態宣言、天候不順により大幅減少、10月以降は持ち直しへ
2021年10月08日
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日