緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算

ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く

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  • 鈴木 雄大郎

サマリー

◆コロナショックは宿泊業をはじめ、観光関連産業に大打撃を与えた。緊急事態宣言の発出や県をまたぐ移動の自粛などによって、5月の宿泊者数は2019年対比で▲84.1%と大幅に減少した。6月から前月比で増加傾向にあるものの、戻りは緩やかである。

◆6月以降の宿泊者数の回復要因を宿泊者の居住地別に分析すると、福島や栃木など一部の県では、居住者が自県内に宿泊する、いわゆるローカルツーリズムの需要増加が寄与した。多くの自治体では、政府のGo To トラベルキャンペーンに対して前倒しする形で独自の需要喚起策を打ち出している。自県内の宿泊需要が喚起されたのはキャンペーンに加えて、こうした独自施策の効果もあったと考えられる。

◆Go To トラベルキャンペーンの経済効果を試算すると、直接効果で3.0兆円、間接効果で1.9兆円と見込まれる。また、経常利益を3.4兆円押し上げ、46万人の就業誘発効果があるという結果が得られた。

◆今後の観光需要を考える上では、宿泊者の大宗を占める県外からの観光客の需要回復がカギを握ることになろう。また感染収束後を見据え、特に地方部で遅れている外国人観光客の受け入れ環境の整備を加速させるべきだ。

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