2021年3月鉱工業生産

自動車の挽回生産や海外向け生産増で生産指数は2ヶ月ぶりに上昇

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2021年04月30日

  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆2021年3月の生産指数は前月比+2.2%と、低下を予想していた市場コンセンサス(同▲2.0%)に反して2ヶ月ぶりに上昇した。2月に発生した福島県沖地震の影響による部品供給不足の解消を受けた挽回生産が見られたほか、海外需要が増加したとみられる自動車工業の増産が全体の上昇に寄与した。そのほか、無機・有機化学工業、プラスチック製品工業などが上昇に寄与した。

◆先行きの生産は、緩やかに上昇するとみている。新型コロナウイルスワクチンの世界的な普及による消費需要や投資需要の拡大が幅広い業種の増産を後押しするほか、世界的な半導体不足の影響を受け、集積回路などの半導体や半導体等製造装置の生産が増加するだろう。国内では3回目の緊急事態宣言が発出されたが、鉱工業生産への影響は小さいだろう。他方、上述の半導体不足による自動車の減産は下押し要因となり、今後さらに押し下げ幅が大きくなる可能性には注意が必要だ。製造工業生産予測調査によると、2021年4月は前月比+8.4%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+4.6%)、5月は同▲4.3%と見込まれている。

◆5月12日公表予定の3月分の景気動向指数は先行CIが前月差+5.1ptの103.8、一致CIは同+3.0ptの92.9と予想する。この予測値に基づくと、一致CIによる基調判断は機械的に「改善」に上方修正される。

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