サマリー
◆2021年3月の生産指数は前月比+2.2%と、低下を予想していた市場コンセンサス(同▲2.0%)に反して2ヶ月ぶりに上昇した。2月に発生した福島県沖地震の影響による部品供給不足の解消を受けた挽回生産が見られたほか、海外需要が増加したとみられる自動車工業の増産が全体の上昇に寄与した。そのほか、無機・有機化学工業、プラスチック製品工業などが上昇に寄与した。
◆先行きの生産は、緩やかに上昇するとみている。新型コロナウイルスワクチンの世界的な普及による消費需要や投資需要の拡大が幅広い業種の増産を後押しするほか、世界的な半導体不足の影響を受け、集積回路などの半導体や半導体等製造装置の生産が増加するだろう。国内では3回目の緊急事態宣言が発出されたが、鉱工業生産への影響は小さいだろう。他方、上述の半導体不足による自動車の減産は下押し要因となり、今後さらに押し下げ幅が大きくなる可能性には注意が必要だ。製造工業生産予測調査によると、2021年4月は前月比+8.4%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+4.6%)、5月は同▲4.3%と見込まれている。
◆5月12日公表予定の3月分の景気動向指数は先行CIが前月差+5.1ptの103.8、一致CIは同+3.0ptの92.9と予想する。この予測値に基づくと、一致CIによる基調判断は機械的に「改善」に上方修正される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日