2020年9月鉱工業生産

生産指数は自動車工業がけん引し大幅上昇

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2020年10月30日

  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆2020年9月の生産指数は前月比+4.0%と4ヶ月連続で上昇し、市場予想を上回った。8月は回復ペースが減速していたが、9月は再加速し、7-9月期は前期比+8.8%と2四半期ぶりの上昇となった。9月の動きを業種別に見ると、自動車工業は国内外の需要回復を背景に4ヶ月連続で上昇しており、生産指数の回復のけん引役となっている。生産用機械工業は海外の半導体製造装置への需要増などを追い風に3ヶ月ぶりの上昇となった。

◆10月以降の生産は緩やかな回復が続くとみている。製造工業生産予測調査によると、10月は前月比+4.5%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+1.4%)と見込まれている。また、11月は同+1.2%となっている。付加価値生産額の大きい自動車工業を含む輸送機械工業や、電気・情報通信機械工業は、10月は増産が続くものの、11月は減産に転じると見込まれている。国内外でのペントアップ需要の剥落により鉱工業生産指数の回復ペースは年末にかけて徐々に鈍化するとみられる。

◆2020年11月9日公表予定の9月分の景気動向指数は先行CIが前月差+4.9ptの93.3、一致CIは同+1.3ptの80.5と予想する。この見通しに基づくと、一致CIによる基調判断は現在の「下げ止まり」に据え置かれる。

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