サマリー
◆2017年8月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比+2.0%と2ヶ月ぶりに上昇した。一方で、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同+3.4%と、2ヶ月連続で増加した。このうち、非製造業(船舶・電力を除く)は同+3.1%と3ヶ月連続で増加し、減少傾向にあった受注動向は、緩やかに持ち直しているが、内閣府公表の7-9月期見通しの達成確度は低い(見通し(前期比+13.5%)の達成には、9月に前月比+22.2%以上が必要)。
◆2017年8月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+0.2%と2ヶ月ぶりに増加した。3ヶ月移動平均で均した実質消費支出はほぼ横ばいとなっており、その回復には足踏みが見られる。また、完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.8%、有効求人倍率(季節調整値)も前月から横ばいの1.52倍となった。先行きの労働需給は、非製造業・中小企業を中心とする高い労働需要を背景に、タイトな状況が続く見通しである。ただし、ほぼ完全雇用状態に達しているため、就業者数の増加ペースは緩やかなものにとどまるとみている。
◆今後発表される経済指標では、11月15日発表予定の2017年7-9月期GDP(一次速報)に注目したい。7・8月の基礎統計に基づけば、7-9月期の実質GDP成長率(前期比)は、底堅く推移するとみている。4-6月期に成長の牽引役となった内需では、特に個人消費に注目している。GDPで最も大きなウェイトを占める個人消費について、需要側の統計である家計調査の実質消費支出指数(季節調整値)は、7・8月の平均が4-6月の平均の▲0.6%となっている。9月も実質消費支出は横ばい圏で推移するとみており、7-9月期の個人消費は7四半期ぶりにマイナス寄与となる可能性が高い。一方、外需は好調な輸出の増加を主因に2四半期ぶりにプラスに寄与する可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月全国消費者物価
米価格の上昇が他の食料品や外食など関連品目の価格にも波及
2025年06月20日
-
2025年5月貿易統計
輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少
2025年06月18日
-
2025年4月機械受注
民需(船電除く)は減少し、コンセンサス通りの結果だった
2025年06月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日