サマリー
◆2017年7月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比▲0.8%と2ヶ月ぶりに低下した。一方で、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同+8.0%と4ヶ月ぶりに増加した。需要者別に受注を見ると、製造業は同+2.9%と2ヶ月ぶりに増加した。非製造業(船舶・電力を除く)は同+4.8%と2ヶ月連続で増加した。内閣府が公表している民需(船舶・電力を除く)の7-9月期見通しは、非製造業の大幅増を背景に前期比+7.0%とされている。ただしその達成には、非製造業は8-9月実績で7月比+14.6%が必要でありハードルは高い。
◆2017年7月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲1.9%と4ヶ月ぶりに減少した。個人消費はいったん足踏みしている。また、完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.8%、有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.52倍となった。先行きの労働需給は、非製造業・中小企業を中心とする高い労働需要を背景に、タイトな状況が続く見通しである。ただし、ほぼ完全雇用状態に達しているため、就業者数の増加ペースは緩やかなものにとどまるとみている。
◆今後発表される経済指標では、10月2日に発表予定の9月日銀短観に注目している。業況判断DIについては、これまでの改善傾向は一服するとみられるが、水準や基調などを総合的に勘案すると、企業の業況感は製造業と非製造業のいずれも堅調な結果になるとみている。大企業製造業は、海外経済の回復が続く中で内需に持ち直しの動きが出ていたことがプラスに作用する一方、これまでの改善ペースが速かった反動が出るとみている。また、大企業非製造業は、これまで消費の持ち直しや堅調なインバウンド需要、さらには旺盛な建設・不動産需要などを背景に、2四半期連続で改善してきたものの、9月短観では天候不順や「宅配クライシス」の影響が下押し要因となり、横ばい圏で推移するとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日