4月全国消費者物価

消費税率引き上げ分以上に物価が上昇

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2014年05月30日

  • 齋藤 勉

サマリー

◆2014年4月の全国CPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比+3.2%と、消費税率引き上げを受けて大幅な上昇となり、市場コンセンサス(同+3.1%)を上回った。4月全国コアCPIの消費税を除くベースの数値を試算すると、前年比+1.4%と前月(同+1.3%)から上昇幅が拡大しており、消費税率引き上げ分以上に、4月のコアCPIは上昇した計算になる。


◆5月東京コアCPI(中旬速報値)は前年比+2.8%と、上昇幅は前月(同+2.7%)から拡大した。上昇幅拡大の主因は、経過措置が剥落することで税率引き上げの影響が4月よりも5月に大きく出たためである。なお、東京コアCPIを踏まえると、2014年5月の全国コアCPIは前年比+3.3%となる見込み。


◆先行きについては、コアCPI(消費税の影響除く)は当面前年比+1%前後の推移が続くとみられる。これまでコアCPIを押し上げてきたエネルギーに関しては、円安を背景とした輸入価格上昇による押し上げ分が徐々に剥落していくこととなる。電気代の再値上げが押し上げ要因とはなるものの、今後の物価上昇の主因はエネルギー以外の品目となるだろう。エネルギー以外の品目に関しては、景気回復によるGDPギャップの改善に沿う形で、緩やかに上昇幅が拡大していく公算が大きい。特に、足下で賃金上昇の動きが活発化していることが、サービス価格の上昇を通じて、物価の押し上げ要因となるだろう。

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