サマリー
◆テレビ価格の変動による影響:2012年5月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比▲0.1%となり、市場コンセンサスを下回った。予想を下回った要因は、銘柄入れ替えの影響で上昇を続けていたテレビ価格が下落に転じ(前年比+8.1%→同▲0.4%)、耐久財の押し下げ幅が拡大した点にある。全国コアコアCPI(季調値)が弱いことに鑑みると、本来強すぎた基調が修正されたと言えよう。
◆財・サービス別動向:原油価格の下落の影響で、ガソリン価格、電気代を中心にエネルギーの押し上げ幅が縮小し、非耐久財の押し上げ幅が縮小した。また、前月に引き続き、生鮮肉、乳製品、鶏卵などの食品価格が下落している。半耐久財に関しても、下落幅が拡大している。
◆今後の見通し:東京都区部の動きから、6月の全国コアCPIは前年比▲0.1%程度になると予想している。世界経済に対する懸念から原油価格が下落しており、エネルギー価格のプラス寄与度は引き続き縮小していくものと見込んでいる。また、全国コアコアCPI(季調値)の基調が弱いことから、需給の改善による物価上昇にも時間を要しているようだ。こうしたことから、全国コアCPIは来月以降、一時的に前年を下回る状況が続くものとみられる。しかしその後は、マクロの需給改善が遅行的に波及する形で、物価は緩やかな上昇に転じよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月機械受注
金融業・保険業、不動産業などの受注減で軟調な結果
2025年09月18日
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日