経済指標の要点(5/22~6/18発表統計分)

RSS

2012年06月19日

  • 齋藤 勉
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 増川 智咲

サマリー

◆企業関連の指標は、先行きの不透明感を感じさせる内容であった。4月の鉱工業生産指数は前月比▲0.2%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。製造工業生産予測調査では5月分の生産計画が前月比▲3.2%となっており、足踏みが予想される。4月の輸出金額は、前年比+7.9%と2ヶ月連続でのプラスとなった。米国向け輸出は好調であり、底堅く推移すると見込まれるものの、EU向けの輸出が落ち込んでいるなど先行き不透明感が根強い。4月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+5.7%と2ヶ月ぶりのプラスとなった。「自動車・同付属品」ではエコカー補助金の予算切れに先駆けて大きな減少が見られるが、他の業種での需要が強く、設備投資には回復の兆候が見られる。エコカー補助金の予算切れの影響で企業関連指標は一時的に下振れするとみられる。加えて、海外経済の減速はさらに大きなリスクとして現存しており、今後の動向に注視が必要である。

◆家計関連の指標は雇用・所得・消費環境に緩やかに持ち直しの兆しが見られる内容であった。4月の消費は前年比+2.6%と3ヶ月連続のプラスとなった。消費支出(除く住居等)の季節調整値で見ても、前月比+0.2%と2ヶ月ぶりに増加している。4月の失業率は前月から0.1%pt悪化し、有効求人倍率は前月から0.03pt改善した。4月の現金給与総額は前年比+0.2%と、3ヶ月連続のプラスとなった。先行きは、企業業績の改善を通じて雇用・所得・消費環境は緩やかに持ち直していくとみられる。

◆今後発表される統計では、7月2日に公表される日銀短観に注目したい。欧州債務危機問題はいまだに終息の糸口が見えず、先行き不透明感が高まる中で、企業の景況感がどのように変化しているかが注目される。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。