サマリー
◆3月4日のイタリア総選挙は、どの会派・政党も絶対多数には至らない見込みで、(どの党も過半数議席を獲得できない)ハングパーラメントとなる可能性が高い。当初は、中道右派連合が大方の議席を獲得して逃げきれるとみられていたが、単一与党が誕生する可能性は極めて低く、連立政権となることは避けられない見通しである。
◆単独政党の支持率としてはトップとなっている五つ星運動であるが、政権を握った場合、どのような政策の舵取りをするのかは未知数である。特にディ・マイオ党首は、若さゆえに通貨ユーロやEU離脱などに対する態度に一貫性がないことから、金融市場は翻弄されることが多い。
◆仮にフォルツァ・イタリアが中道右派連合内で最多票を獲得して、総選挙に勝利した場合も、2013年に脱税・汚職問題で有罪判決を受けているベルルスコーニ党首は、首相になることはできない。ただ同氏は、現在、欧州人権裁判所にこの撤回を求めており、首相就任を目指しているとされる。最も金融市場で警戒すべきは、旧態依然の政治スタイルを貫き、EU統合への不安要素にしかならない、元首相の去就といっても過言ではない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日