サマリー
◆3月4日のイタリア総選挙は、どの会派・政党も絶対多数には至らない見込みで、(どの党も過半数議席を獲得できない)ハングパーラメントとなる可能性が高い。当初は、中道右派連合が大方の議席を獲得して逃げきれるとみられていたが、単一与党が誕生する可能性は極めて低く、連立政権となることは避けられない見通しである。
◆単独政党の支持率としてはトップとなっている五つ星運動であるが、政権を握った場合、どのような政策の舵取りをするのかは未知数である。特にディ・マイオ党首は、若さゆえに通貨ユーロやEU離脱などに対する態度に一貫性がないことから、金融市場は翻弄されることが多い。
◆仮にフォルツァ・イタリアが中道右派連合内で最多票を獲得して、総選挙に勝利した場合も、2013年に脱税・汚職問題で有罪判決を受けているベルルスコーニ党首は、首相になることはできない。ただ同氏は、現在、欧州人権裁判所にこの撤回を求めており、首相就任を目指しているとされる。最も金融市場で警戒すべきは、旧態依然の政治スタイルを貫き、EU統合への不安要素にしかならない、元首相の去就といっても過言ではない。
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