サマリー
◆9月4日のECB金融政策理事会は追加利下げを決め、政策金利は0.15%から0.05%へ引き下げられた。8月末の米ジャクソンホールでのスピーチで、ドラギECB総裁がインフレ期待の低下に懸念を表明して以来、追加緩和策への期待が高まっていたが、利下げは予想外の決定であった。これに加えて、ABS(資産担保証券)とカバード・ボンドの買取を10月から実施することも発表された。
◆一連の追加緩和策の狙いは民間企業への貸出増加とされる。ただし、今回、ECBの追加緩和「前倒し」を後押した各種景況感指標の悪化が示すように、ユーロ圏景気の下振れリスクが高まっている。ECBの金融緩和姿勢がユーロ安につながってきたことで、輸出促進効果が期待されるが、企業と消費者の景況感改善のためには、金融政策だけでは力不足ではないだろうか。年末にかけてユーロ圏各国は来年度予算の策定時期を迎えるが、各国がそれぞれの国内事情に応じて構造改革と財政政策による景気対策を講じてくるかどうかが注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
-
欧州経済見通し 利下げ終了後の注目点
関税リスクは後退、財政悪化・金利上昇が新たなリスクに
2025年09月24日
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日