欧州経済見通し マイルド・リセッションへ

鍵を握るのはドイツの内需動向とフランスの大統領選挙の行方

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2012年02月20日

サマリー

◆2011年10-12月期のGDP成長率はユーロ圏が前期比-0.3%、英国が同-0.2%と共にマイナスに転じた。景気後退の背景には、世界的な需要減退に加え、ユーロ圏の財政懸念が加速したことで、景気の先行き不透明感が高まったことがある。

◆ただ、ドイツ企業の景況感は11月以来3ヶ月連続で改善しており、ドイツ経済の減速は一時的と考えられる。米景気が緩やかながら回復を続けていること、エマージング諸国の金融政策が緩和に転じつつあることなどが、外需見通しを改善させている。また、1月以降のユーロ圏各国の国債入札に旺盛な需要があり、発行金利が低下していることも、景況感改善に寄与している。ドイツ経済がプラス成長に復帰し、フランス経済の落ち込みが限定されれば、財政緊縮策による内需減退はあるものの、2012年のユーロ圏経済は小幅のマイナス成長にとどまろう。その鍵を握るのはドイツの内需動向とフランスの大統領選挙の行方であると考える。

◆景気の下振れ要因はユーロ圏債務問題が改めて金融市場の混乱要因となり、金融システム不安を呼び覚ますことである。ギリシャの第2弾支援は、3月20日というデッドラインにぎりぎり間に合うタイミングで最終決定される可能性が高いとみるが、そうならなかった場合、不安の連鎖が再燃するリスクが高い。また、セーフティーネットの増強に関しては3月1、2日のEU首脳会議で具体的な決定が下されることが重要となろう。

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