サマリー
◆2022年1月~9月の実質GDP成長率は前年同期比3.0%(以下、変化率は前年同期比、前年比)にとどまった。足元の新型コロナウイルス感染症の新規感染者の急増ぶりからすると、10月~12月も本格回復からは程遠い状況が続き、2022年の実質GDP成長率は3.0%程度となろう。
◆「科学」「的確」をキーワードとした「ゼロコロナ」政策の行きすぎの是正は、歓迎すべき動きである。しかし、無症状の感染者が多いというオミクロン株とその派生型の特徴からすると、感染者の早期発見と感染経路の迅速な遮断は極めて難しい。経済・社会活動の正常化を重視するのであれば、「ウィズコロナ」への転換しか道はないと思われる。2023年の中国経済見通しは、感染拡大が抑制できるか否か、「ゼロコロナ」政策が転換されるかどうかに大きく左右される。2023年の実質GDP成長率は4.5%程度と想定しているが、3.0%成長が続く懸念も6.0%成長に回復するチャンスもあろう。その行先は一強体制を構築した習近平氏の政治判断にかかっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:景気テコ入れ、本気モードは来春か
まだ続く政治の季節。新首相に花を持たせる?
2022年10月26日
-
習近平氏一強の中国はどこへ向かうのか
中国最高指導部入り、昇格の最低要件は「習近平総書記との近さ」
2022年10月24日
-
中国経済見通しに代えて
習近平氏「一強体制」の弊害と党大会「報告」経済分野のポイント
2022年10月20日
-
20回党大会、習・李氏は対立ではなく補完?
中台統一、共産党統治、共同富裕、強軍、イノベーション、改革開放
2022年10月17日
-
中国:党大会、経済重視への転換点となるか
8月の感染者増加は経済規模の小さい地方に集中、影響は限定的
2022年09月21日
-
覇権争いの中、人口減少国に転落する中国
2019年版と2022年版の国連中位推計、2100年の人口に3億人の差
2022年09月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日