サマリー
◆2022年4月の中国経済は失速した。新型コロナウイルス感染症の感染爆発が起きた上海市は、3月28日から1カ月半以上にわたり厳格なロックダウン(都市封鎖)を実施した。今後の中国経済については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑制と、ロックダウンの早期解除の成否が鍵を握る。この点で、感染爆発の起きた上海市で収束が見通せるようになったのは朗報である。
◆2022年1月~3月の実質GDP成長率は前年同期比4.8%(以下、変化率は前年同期比、前年比)となったが、4月~6月は2.0%程度に落ち込むと予想している。4月が最悪期であり、5月にやや上向き、回復が本格化するのは6月以降との想定である。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束すれば、財政・金融によるサポートに加え、自動車購入に対する補助金政策の発動など政策の総動員が想定され、年後半は5%以上の実質成長が期待できる。ただし、4月~6月の落ち込みは大和総研の想定以上であり、2022年の成長率見通しを従来の5.1%程度から4.5%程度に引き下げる。政府成長率目標である5.5%前後の達成は至難ということになる。
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