サマリー
◆上海市で新型コロナウイルス感染症の感染者が爆発的に増加した。上海市政府は2022年3月28日~4月1日に市の東側、4月1日~5日に西側をロックダウン(都市封鎖)すると発表したが、13日時点で多くの地区でロックダウンが継続されている。
◆上海市がロックダウンに追い込まれた影響は、人の移動制限による接触型消費の大幅な減少、生産・物流の停滞に伴う国内外への悪影響という直接的なものにとどまらない。上海市はゼロコロナ政策と経済・社会活動の両立を目指してきたが、この取り組みは挫折した。今後、中国全土で一層厳格なゼロコロナ政策が実施され、経済の足を引っ張る可能性が高まったといえる。
◆大和総研は2022年1月~3月の実質GDP成長率を前年同期比4.9%(以下、変化率は前年比、前年同期比)、4月~6月を5.2%、通年で5.4%と予想していたが、1月~3月は4.5%、4月~6月は4.7%、通年を5.1%に引き下げる。従来は北京冬季五輪・パラリンピックや全国人民代表大会(全人代)などの重要な政治・社会イベントのある1月~3月はゼロコロナ政策が強化され、4月以降は景気重視にシフトするとの見通しであったが、これは後ずれを余儀なくされよう。10月か11月と目される5年に一度の党大会開催を前に、年前半の景気下振れ圧力は高まっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国経済、相次ぐロックダウンに広がる暗雲
ウクライナ問題の影響は相対的に小さいが免れ得ない
2022年03月22日
-
ウクライナ問題に関する緊急レポート
世界経済へのインパクトをどうみるか
2022年03月18日
-
中国:視界不良。高い成長率目標をどう達成?
党大会に向け力強い経済回復をアピール。鍵はオールドエコノミー?
2022年03月07日
-
中国:全人代、「5%以上」の成長は可能なのか
「ゼロコロナ」と経済活動の両立を図る上海モデル
2022年02月18日
-
中国:「ゼロコロナ」への固執がリスク要因に
本来なら成長率が加速する可能性が高い党大会開催年
2022年01月21日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日