インフレ懸念vs.景気下押し懸念

金融政策の舵取りは複雑化も、予防的利上げが必要

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サマリー

◆2026年2月末に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃の影響で、インフレ懸念が高まっている。インフレを抑えるには利上げを行うことが一般的だが、先行きが不透明な中で利上げを行うことで、景気の下押しを助長してしまうのではないかとの見方もある。両方向へのリスクがある中、金融政策の舵取りは複雑化している。

◆インフレ率上昇は継続・定着する可能性がある。今回の事態を受け、地政学リスクの影響を受けやすい製品から別の製品に切り替える、原料輸入先・サプライチェーン、輸送ルートを多様化するといった措置を取ろうとする国や企業は多いと思われるが、それにも追加的なコストがかかる。短中期的にインフレ率の上昇リスクは高い状態が続くと予想される。

◆さらに、日本の家計の予想インフレ率は、供給ショックによる高インフレを経験することで、2%よりも高い位置にアンカー(固定化)されてしまい、名目金利の大幅な引き上げが必要となる可能性がある。

◆情勢が流動的な中、金融政策の舵取りは非常に複雑化しているが、予防的な利上げを行うことで、日本銀行はインフレに対して適切に行動するとの安心感を与えて、予想インフレ率をアンカーし、結果的に緩やかな利上げペース・政策金利の到達点(ターミナルレート)とすることが肝要だろう。金利を事前に上げておくことで、深刻なリセッションが起きた場合の政策対応余地も残すことができる。現状、地政学的に先行きの不透明感が強い中ではあるが、利上げ判断が遅れれば、インフレ率の上昇と円安進行という形で、経済に多大な悪影響を与える可能性がある。長い目で見れば、早期の利上げが望ましいのではないか。

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