2026年04月21日
サマリー
◆2026年2月末に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃の影響で、インフレ懸念が高まっている。インフレを抑えるには利上げを行うことが一般的だが、先行きが不透明な中で利上げを行うことで、景気の下押しを助長してしまうのではないかとの見方もある。両方向へのリスクがある中、金融政策の舵取りは複雑化している。
◆インフレ率上昇は継続・定着する可能性がある。今回の事態を受け、地政学リスクの影響を受けやすい製品から別の製品に切り替える、原料輸入先・サプライチェーン、輸送ルートを多様化するといった措置を取ろうとする国や企業は多いと思われるが、それにも追加的なコストがかかる。短中期的にインフレ率の上昇リスクは高い状態が続くと予想される。
◆さらに、日本の家計の予想インフレ率は、供給ショックによる高インフレを経験することで、2%よりも高い位置にアンカー(固定化)されてしまい、名目金利の大幅な引き上げが必要となる可能性がある。
◆情勢が流動的な中、金融政策の舵取りは非常に複雑化しているが、予防的な利上げを行うことで、日本銀行はインフレに対して適切に行動するとの安心感を与えて、予想インフレ率をアンカーし、結果的に緩やかな利上げペース・政策金利の到達点(ターミナルレート)とすることが肝要だろう。金利を事前に上げておくことで、深刻なリセッションが起きた場合の政策対応余地も残すことができる。現状、地政学的に先行きの不透明感が強い中ではあるが、利上げ判断が遅れれば、インフレ率の上昇と円安進行という形で、経済に多大な悪影響を与える可能性がある。長い目で見れば、早期の利上げが望ましいのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
CGコード改訂案に揺れる「現預金」の位置付け
機関投資家と上場会社で認識のズレが露呈
2026年03月18日
-
東証、オーナー企業の実態開示を拡充へ
資本関係、人的関係、経営関与の有無
2026年03月12日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

