日銀の利上げで増加する利払い費

収益悪化を緩和する二つの要因

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サマリー

◆日銀の財務諸表等によれば、2024年度上半期の補完当座預金制度利息(支払利息)は、3,922億円と前年同期比で約4倍に増加した。当座預金への付利金利の引き上げによって、日銀が金融機関へ支払う利息も増加したのである。

◆一方で、国債の運用利回りは低下している。運用利回り低下の要因は、日銀が保有する国債の表面利回りの加重平均が低下してきたことと、日銀が国債を買い入れた際の額(取得原価)と額面の差(アモチゼーションコスト)が大きくなったことの二つである。0.25%ptの追加利上げが行われれば、当座預金に対する付利金利は0.5%となり、2023年度の長期国債の運用利回り(0.291%)を上回る水準となる。

◆仮に国債から得られる利息が、当座預金に対する利払い費用を下回ったとしても、即座に赤字となることはない。収益悪化を緩和する要因の一点目は、債券取引損失引当金の存在だ。二点目は、株式、ETF、J-REIT等の運用益である。潤沢な引当金と運用益等の収入があるため、利払い費増加による収益への悪化を和らげることが可能だろう。

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