2022年10月20日
サマリー
プライベート・エクイティ(PE)市場の今後の見通しを、「上場企業よりもユニコーンの冬の時代がもっと続くと思っている」と、孫正義代表取締役会長兼社長執行役員は8月に表現した。確かに悲観させる材料は多い。PE市場でのファンドの資金調達活動の停滞、滞留資金(ドライパウダー)の積み上がり、NAV(純資産価値)の下落などが挙げられる。まさにPE市場はゴールデン・エイジから冬の時代に移っている。
一方、ここ10 年間、ユニコーンがイノベーションを創出し、社会・経済構造の変革をもたらしてきた。PE市場はそのようなユニコーンを着実に、かつ多数生んできた。その意味でPE市場の果たしてきた役割は大きい。「ユニコーン冬の時代」を強調して悲観する前に、PE市場の冬の時代の耐性とその将来性を見通すべく、PE市場がこれまで果たしてきた役割と存在意義を客観的に把握し、理解を深めることが重要であろう。PE市場には構造的な課題が多いが米国などでは基盤となるベンチャー・エコシステムを強化し、投資家から信頼を得、また大手資産運用会社を巻き込んで、付加価値の高い新たなプラットフォームを構築する取り組みが行われている。ここにもっと注目すべきだ。

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