2020年02月26日
サマリー
◆東京証券取引所から「新市場区分の概要等について」が公表された。市場区分とコンセプトは昨年末に公表された金融庁「市場構造専門グループ報告書」と大きな変化はない。市場はプライム市場、スタンダード市場、グロース市場(いずれも仮称)の3つである。新市場への移行は2022年4月1日になった。
◆各市場の新規上場基準と上場維持基準について、流動性、ガバナンス、経営成績・財政状態の3つの観点から具体的な項目が示された。既存の上場企業は上場維持基準に沿って、主体的に市場を選択することが求められる。また、流通株式の定義の変更が検討されており、政策保有株式が流通株式から除外される可能性がある。
◆プライム市場への上場を目指すものの、上場維持基準を満たすことができない市場第一部企業は経過措置を活用できるが、その条件は上場維持基準の達成に向けた計画公表と進捗開示である。市場がその良し悪しを判断することになり、該当企業は今まで以上に企業価値の向上に向けた行動をとっていく必要がある。
◆新市場移行前に現行制度の改正も想定されている。マザーズなどから市場第一部への昇格については緩和された基準が適用されているが、それは今年の7月に改正される可能性がある。一方で、市場第一部への赤字上場が可能になることが想定されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
東証再編で企業が留意すべき5つのこと
企業が行動するにあたっての不透明感の払拭を期待したい
2020年01月31日
-
東証再編に関する最終報告書(案)
今後は2020年のコーポレートガバナンス・コードの改訂議論に注目
2019年12月26日
-
東証再編、3市場案vs2市場案
既存の市場第一部の上場企業への経過措置も
2019年11月25日
-
年末までに東証再編の方向性が見えてくる?
金融審議会「市場構造専門グループ」が議論再開
2019年10月31日
-
東証再編に向けて動き始めた企業
海外投資家を対象としたC市場に上場する要件を備えた企業の姿は?
2019年07月17日
-
同床異夢の東証再編
金融審議会で市場再編に関する議論がスタート
2019年06月11日
同じカテゴリの最新レポート
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
他市場にも波及する?スタンダード市場改革
少数株主保護や上場の責務が問われると広範に影響する可能性も
2025年12月03日
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

