グロース市場改革を企業はどう捉えているか

投資家ニーズを汲み上げ、株価を意識的にデザインする必要性

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サマリー

◆東京証券取引所が公表したグロース市場改革(案)はグロース市場上場会社の行動に大きな影響を与えそうである。最近のグロース市場上場会社の決算説明会、決算説明資料などではこの案に対する言及がなされてきている。

◆「上場5年経過後時価総額100億円以上」という2030年からの上場維持基準引き上げへの自社の考え方や今後の方向性を示すことが最も多い。中長期の成長戦略に関する指標を変更する会社があったり、退路を断つという意味で上場維持基準に適合しなければ上場廃止という選択も1つの覚悟と述べたりする経営者もいた。

◆グロース市場の資本配分は、通常、積極的な投資が想定されるが、配当、自社株買い、株主優待といった株主還元に力を入れる会社が最近散見される。企業価値の向上に最も資するような配分を考えた結果であろう。上場維持基準の引き上げによって影響を受ける会社では、今後の成長を前提に投資家のニーズを戦略的に汲み上げ、自社の株価を意識的にデザインする必要があるだろう。

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